フリーフォールコリジョン

Age: 61 (Male)
Time in Sport: 10 years
Total Number of Jumps: 602
Skydives Within the Last 12 Months: Not reported
Cause of Death: フリーフォールコリジョンの後、メインもリザーブも開傘せず墜落

・概要
6wayスピードスターに参加。
Exitは問題なし。
このジャンパー他2名で3wayスターが出来たところへ、4人目が前進スピードを落としきれないままドック。
ベースが不安定になり、フォールレートが加速。
このとき、ドック寸前だった5人目がフォーメーションの真上でバブルに吸い込まれ、急激に高度を失った。
彼は衝突を避けようとしたものの、足(膝)が亡くなったジャンパーの頭部(首)へ当たった。
調査官がビデオ映像を確認したところ、とても軽い衝撃に見えた、とのこと。

コリジョンはブレイク高度直前に発生した。
フォーメーションに参加していたジャンパーは、彼が安定したボディポジションで、かつ、親指を立てていたため、
彼の意識はハッキリしていると判断し、ブレイクしてトラッキングを行った。
映像を確認してみると、衝突されたジャンパーの腕が風になびいており、親指を立てているようにもみえるが、
彼は明らかに意識が無かった。

彼は無意識だったにもかかわらず、安定したニュートラルポジションでフリーフォールを継続し、
メインもリザーブも開傘することなく地面に激突した。
彼のギアにAADは装備されていなかった。

・結論
バブルに捕まった5人目のジャンパーは、ベースに衝突することを可能な限り避けようとしていた。
しかし、彼の膝と足の一部が、下に居たジャンパーに当たった。
亡くなったジャンパーはフルフェイスのヘルメットを装着していたが、そのヘルメットで守られていない部分に当たり、意識を失った。

ストップする技術、また、ベースへ水平にアプローチする技術は、垂直方向のコリジョンを防ぐために有効である。
ベースへ接近する際には、水平方向に2~3メートル離れたところでしっかりとフォールレートを合わせ、
なるべくソフトにドックすべきである。

コントロールされたアプローチおよびドックは、フォーメーションを安定させ、一定のフォールレートを保つために必要である。
もしベースが安定せず、フォールレートが変化するようなら、そこへドックするのは大変難しい。

もし、このジャンパーがAADを装備していたなら、結果は違うものになったかもしれない。

System: Parachute Labs Inc. (dba Jump Shack) Racer
Main: Parachute Labs Inc. (dba Jump Shack) FireBolt 168 ; Wing Loading: 1.5:1
Reserve: Flight Concepts Sharpchuter 245
AAD: None
Helmet: Fiberglass full-face helmet, unreported brand

止まりきれずにベースに突っ込む「突撃隊長」は、経験の浅いジャンパーにありがち。
笑い事では済まないケースもあるということで。
ベースが不安定だったり、自分のポジションが不安定な場合は「ドックしない」のが正しい判断。

進む→『止まる』→グリップ。
これ大事。